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「うわ、私が行こうとしていた所と違って凄い高級そうなお店なのですっ」
「さすがは財閥の御曹子と言ったところでしょうか?」
突っ込んだら負けだ、黙って店の中に入る。
「これはいらっしゃいませ如月様。ご注文の品、できていますよ」
「ありがとうございます。ゆん、来て」
「了解なのです」
僕の前に立ったゆんに店員から貰った物、ペンダントを後ろからつけてあげる。
「……これは?」
つけられたペンダントを見ながら聞いてくるゆん。それはホワイトゴールドで出来たペンダント。
「僕からのプレゼントだよ。君がいなかったら今僕は生きていなかったかもしれなかったからさ」
そのペンダントにはアースが描かれたアクセサリーもついている。その願いはこれからも皆を支えてほしいとの意味だ。いつもは能天気なゆんだがもし何かあったときのゆんはやはり有能で頼りになる。
「これからもよろしくね、ゆん」
「も、勿論なのですっ!」
ゆんの瞳からは涙が流れる。
「何も泣かなくてもよろしいのでは?」
「な、泣いてないのですっ!」
「おー、よしよし」
……本当に楽しそうだなこの2人は。
「それで兄さん、私には何か無いのですか?」
「……そのロケットペンダントあげたでしょ」
「そうでしたわね」
わっざとらしいな。
僕は大切な人には必ず贈り物をしている。それは僕が人と人の繋がりを大切にしたいと思っているからだ。
1人はゴールドの太陽をモチーフにしたペンダント。
1人はシルバーの月をモチーフにしたペンダント。
1人はプラチナの星をモチーフにしたブレスレット。
そしてゆんにはホワイトゴールドの地球をモチーフにしたペンダント。
いろはにはアレキサンドライトで出来た思い出のロケットペンダント。
そしてもう1人渡したい人がいるが今はいない。
「お兄さん、どうしたです?」
「いや、なんでもないよ。さ、帰ろうか」
会計は注文した時に払っているのでアクセサリーはゆんはそのまま首に付けたまま帰るみたいだ。
「お兄さん、これ一生大切にするですっ!」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
プレゼントした甲斐がある。
ぼちぼち日も暮れて茜色に染まる中、3人で歩いて帰る。
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