新たな1年

2/31

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
「……じゃあ例えばの話ですが三味様のこれからの人生はどのように広がっていくと思います?」 「そんな例え話実現するかも分からないよね。確かに昔と違って生きる理由や希望も増えた、だけど人はいつか死ぬ。仏教の教えでは輪廻天性で人は生まれ変わると言われているけど僕は信じていないんだよね。死んだ後は成仏して全てが無くなる。唯一の救いはその後も誰かが僕がいたことをきっと覚えていてくれるって事かな。そうじゃなきゃ長い人生を行き終わった後に虚しいから」 「そんなに難しく考えなくてもいいのではないでしょうか?もし死んだその後が無だとしてもだからこそ今を一生懸命になって何かをするのではないでしょうか。それに私は三味様がいなくなるなんて悲しい……貴方は私の全てなのですから」 「君の人生は君の物なのだからもうちょっと自由に生きてもいいと思う。ゆんを見習いなよ」 「あはは……私はあの子ほど自由には生きれません。それに三味様を手伝っているのは私がしたくてやっていることなんですから三味様が気にしなくても大丈夫ですよ。私はとても幸せですから」 「君は本当にうれしい事を言ってくれるね」 「そうだ三味様、1つ私のお願いを聞いてはくれないでしょうか?」 「なに?」 「もし全てが終わったら青春と言われるものをやり直してみませんか?来年で高校最後の年ですし私も三味様と学校に通ってみたいですから」 「西野園と学校か……ちょっと楽しそうかも」 「はいっ。だいたい三味様は学校が面倒くさいなんて贅沢な悩みですよ、私は楽しみで仕方がないのですから」 「……ふふっ、そんな西野園初めて見るよ。昔の君に見せてあげたいね」 「はい、私も昔の三味様に教えてあげたいです」 「言うね……わかった、全てが終わったら最後の1年ぐらいは学園生活を楽しんでもいいかもしれないね」 「はい、きっと楽しい1年になります。だからそうなる為に頑張りましょう、ご主人様っ」 そう言って西野園は僕を覗きこんで楽しそうに微笑んだ。
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加