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「全く……いろはは馬鹿なんです?」
頬を赤く染めたゆんは朝御飯のトーストをかじりながらぶつぶつ文句を言っていた。
あの後完全に覚醒したゆんは暫くの硬直の後、制服に着替えて食卓に着いた。ずっといろはを睨んでいるゆんの気持ちも解るが元はと言えばゆんの自業自得でもある。……こちらにまで戦の炎が移りかねないので絶対に言わないが。
なおこれは前にも少し触れたが余談になるがゆんといろはは同じ中学三年だが通っている学校が違う。いろはが通っているのは聖美月学園中等部。一応は共学だが敷地が男女完全に別れているので実際は女子中状態。学力は全国トップクラスでいわゆるお嬢様学校。いろはがお嬢様言葉を使うようになった理由はそこにある。……たまに素がでるけど。ゆんが通う中学は東風学園中等部。美月学園と比べると平均学力はかなり劣るが東風学園は様々な学科がありその中の特進クラスは美月学園に勝るとも劣らない。なお、美月学園のいろははセーラー服で東風学園のゆんはワンピースが制服だ。
さて、話は戻るがゆんの睨みに対していろはは何事も無かったのように朝御飯を食べている。
「ちょっと聞いているです、いろはっ!」
「聞こえていますわよ。だってあれはああでもしないとゆんは起きてくれなかったでしょうしだいたい下着姿で寝ている貴方が悪いのではなくて?」
「あー、私もゆんちゃんの下着姿見たかったなぁ……」
「そこ、黙る」
頼むからこれ以上話をややこしくしないでくれ。
「確かにそこは私が悪かったかもしれないです、でも私が下着姿で寝るのはいろはちゃんもしっているですよね?なんでお兄さんを部屋に呼んだです!?」
普通に考えたらいろはが完全に楽しんでるだけだよな。
「さすがに兄さんに見られたら目も覚めるでしょう?それにゆんも兄さんに見られてまんざらでもないのでは?」
「そ、それは……」
「おーおー、三味はモテるなぁ」
「そこも少し黙る」
まさか結月に続いて京助まで話をややこしくしてくるとは……。だいたいゆんには好きな人がいる。それがゆんが僕を血も繋がっていないのにお兄さんと呼ぶ理由でもあるのだが……理由が理由なだけに素直にオーケー出せないんだよなぁ。
「ま、まぁお兄さんだったからよかったのです」
……完全にいろはのペースに呑まれてるし。
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