12人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
「ってそんな問題じゃないのです、むしろお兄さんに見られたのが逆に恥ずかしいのですっ!」
あー振り出しに戻ったなこりゃあ。
「別に減るものではなくて?」
なんかめんどくさそうに話すいろは、さてはもう飽きたな。
「真面目にするですっ、いろははいつもそうなんですー」
ぶすーっとしているゆん。これ以上は収拾つかなくなりそうだし……こんなことで初日から遅刻したら悪目立ちしても嫌だしね。
「ゆん、いろはは無視して朝ごはん食べちゃお」
「なっ、兄さん酷いですっ!」
それすらわざとっぽいいろは、人生楽しんでそうだな。
「いろはも遊んでいないで早く食べる」
「はーい」
少し不満そうだが残りを掻きこむように食べる。加害者だからないろはは。
「しゃみーそろそろ時間、お前も急いだ方が良いぜ」
先に食べ終わって歯磨きをする京助。腕時計を見たら結構時間が迫っていた。バイクで学校まで約二十分、時間はあと三十分か。歯磨きしてすぐ出れば間に合うな、皿洗いは帰ってからだ。
僕は食器を水に浸けて簡単に歯磨きを済ましたらブレザーを羽織る。うん、ギリギリだけどゆんを中学まで送っても間に合いそうだ。バスでも行けるけど中学が高校の真横にある以上、送った方が速いし特に送らない理由もない。いろはの中学は歩いて十分くらいの場所だしここからでも良く見える。
「ゆん、準備できた?」
「完璧なのですお兄さん。よろしくですっ」
ゆんもワンピースの上に薄めのコートを羽織ってカバンを背負った。
「では私は生徒会の仕事があるので先に行かせてもらいますわ。それではごきげんよう」
ちょっと待った、
「いろは生徒会入ってたの?」
「?、生徒会長ですが」
知らなかった……。
「では急いでいるので」
それだけ言い残していろははエレベーターに乗って降りていった。
「三味、俺達も出るぞ」
「あ、うん。マカロン、行ってくるね。それに結月も」
「行ってきまーす」
「行ってくるですっ」
僕と京助とゆんは結月とマカロンに挨拶して家を出る。
「ちょっと待ってよ、行き先一緒でしょっ!!」
急いで髪をツインテールに束ねている結月が何か言った気もするがたぶん気のせいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!