新たな1年

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「や、やばい。結構本気で置いてかれそうになったし!」 僕の後ろにはゆんが乗るから必然的に結月は京助の後ろってことになる。ゆんを中学に下ろしたあとバイクを駐輪場に僕達が止めているとき結月がそんな事を言っていた。京助は基本楽しいことが大好きなので半ば本気で結月を置いていこうとして結局マンションの駐車場で結月を待っていた。根はとても良いやつだからな。かなり焦った顔をして走ってきた結月を見て大爆笑していた。それに僕も結構楽しかったし。 「まあまあ、結局間に合ったんだからいいじゃねえか。終わり良ければ全て良しって言うし」 それに対して朝から全力疾走させられた結月はげっそりした顔で、 「いや、むしろ今からが始まりなんですケド。もし置いていかれてたら転向初日から遅刻とかマジで笑えないよ……」 ヘルメットを外してバイクのミラーで軽く髪を直す。思ったんだけど女性ってヘルメット被ると大変そうだな。京助とゆんはショートカット、僕は短くは無いがバイクに乗ると決めた時点で多少は諦めている。しかも二人乗りの後ろは半ヘルで良いのに危ないからってフルフェイスのメット被っているし。暑そう…… 「いや結月、むし転校しないってのも一つの選択肢かもしれないよ」 「サーセン三味さんマジで意味分かりません」 なんかジト目がいろはより鋭くなっていた。ってかそろそろ校舎に向かわないと。ここで遊んでいて学校に着いているのに遅刻とかなったら馬鹿みたいだし。 「そーだ結月はこれからどうするの?転校生も始業式出んの?」 「あえ?えっと、そうですねぇ……」 いきなり話を変えた京助に少し迷う。あい変わらず適当。 「昨日担任になる予定の……荒垣先生だっけ。荒垣先生に会って話を聞いたんだけど始業式が終わるくらいの時間に職員室に登校したら良いって言われたから」 「俺達と同じクラスになること前提かよ。これは楽しい1年になりそうだな」 荒垣先生は去年に引き続き僕達の担任になる先生、癖の強い僕達のクラスをまとめている苦労人な人。結月が転入したら更に苦労増えるだろうな。 「あんま先生に迷惑かけないようにね二人とも」 「それなんか私達がトラブルメーカーみたいな言い方だね」 「ってか三味も結構迷惑かけてんじゃん、無断欠席とか」 「……京助に言われたくない」
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