大家族

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玄関を開けて自分の部屋を出た僕はすぐ目の前に見えたこたつにスライディングで滑り込みすぐさまスイッチを入れる。 「温かい……」 こたつはエアコンと違って温める範囲が圧倒的に狭いのですぐに温まり暖をとることが出来る。最近の若者は(僕も若者だけど)こたつ離れをしているとか。僕にはまるで理解が出来ない。 「…………」 ……いい感じにまた眠くなってきた。まだ6時だし後1時間は静かに眠る事が出来るはず。本当はこたつで寝るのはいろいろ危険だがそれを知ってなお誘惑してくる魅力がこたつにはあるのだ……。 まぶたが重い、そろそろ夢の中へ…… ガチャ。 「…………」 僕の右後ろから鍵を解除し玄関ドアを開ける音がした。えっと……僕の右後ろにあるなら部屋番は2511だから、 「……最悪だ」 よりにもよって最も危険で危ないやつが……今同じ意味あいの言葉を2回使ったがつまりそれぐらい危険な奴なのだ。少なくとも僕の睡眠を妨害する意味では。 「あれ、兄さんがこんな時間から起きてるなんてあり得ないですわ。何が起こったのですの?」 綺麗でいてそれで毒のありそうな女性の声を前に僕も返事を返す。彼女の前では寝たふりなど無意味なのだから。仮に寝ていたとしても起こされるのは火を見るより明らかだ。 「おはよういろは。君こそこんな朝早くからどうしたんだ?」 首から上だけ後ろを向けるとそこには赤いジャージに身を包んだ女の子の姿があった。 園山いろは。歳は今年で15歳で中学3年生、以上。眠いから今はこんな感じで。 「兄さんこそ死にかけの魚みたいな顔して何をしているのですか?」 それを認めたら寝かせてくれるならそれでもいいけどこの子に捕まった時点でそれは叶わない。だから否定をさせてもらおう。 「そこまで酷くは無いだろう」 「ああ、死にかけの魚に失礼ですわね」 「うるさい」
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