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「嘘じゃないよ、私三味さん好きだもん」
「なんか軽いな」
「それが私、佐倉結月なのですよー。諦めてなれてくださいな」
「いや、なれたら負けな気すらするんだけど」
そして既になれかけている自分が凄く虚しい。そしてそれを察しているのかその笑顔にはますます磨きがかかっているように見えた。
「あ、そうそう三味さん話は変わりますが聞いてくださいよ。私今年からバイト始めようと思っているんですよ」
「本当に話変わったね」
えへへへと何故か照れたような笑いを出しながら大幅な路線変更をされた。それにしてもバイト?訳が分からない。
「なんでバイト?」
結月は諸事情によりかなりのお金を所持している。結月だけじゃない、僕と一緒に住んでいる皆も同じ感じだ。何故そんな大金持っているかは話せば長くなるから話さないがもしかしたら話すこともあるかもしれない。要するにバイトをしないといけないほどお金に困っているわけではないのだ。
「バイトするほどお金に困ってたっけ?」
「いやいや、そうじゃないんですよ。一言で言えば思いで作り?」
バイトで思いで作りとは……めんどくさそ。
「思いで作りか、バイトってやったこと無いけどどんなものなんだろうね。昔知り合いが見ていたバイト求人誌を横から覗かせてもらったけどさ、いろんな種類があるじゃん。どんなバイトをするの?」
性格その他諸々はともかくビジュアル、ルックスだけは完璧だからな。ウェイター系統はまず即採用だろう。思いで作りとか言っちゃうくらいだからコンビニとかガソスタじゃ無いだろうし、
「もしかして読モとか?」
結月の天職なんじゃないか、読者モデル。
「あー、うん。それも勿論考えたんだよ。実際に芸能界にも何度かスカウトもされた訳だし。でもその仕事で学校生活に支障を出したく無いんだよねー。三味さんや京助くん達とだったら絶対に楽しい1年、それこそ一生の思い出になりそうじゃん。だから学校に行けなくなるような仕事はあまりしたくないかなって」
読モってそんなに忙しいのだろうか、芸能人やアイドルが仕事で学校を休むのは聞いたことはあるけど。
「じゃあ何のバイト?」
「うん、実は私の知り合いが昼はカフェで夜はバーのお店をやっているんですよ。そこで働かせてもらおっかなって」
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