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店長を良く知っているだけにどんなバイト内容なのかが怖さが少しある。結月は天然とかじゃ無いけどたまに流される事があるからな……
「あれれ三味さん、もしかして私の事心配してくれてます?」
「まあ一応は友達だからそれなりにね。二度は言わないから」
僕は立ち上がって軽くズボンの埃を払い軽く背伸びをする。
「えー、そんな出し惜しみしないでもっと言ってもいいんですよー?」
「うるさい」
ズボンのポケットでスマホが震える、歩きながら確認したら京助からの連絡だった。どうやら始業式が終わったみたいだ、日も沢山浴びた事だし先生にも見つかる前に戻ろう。
「ちょっと待ってよー」
何故かふらふらと小走りで着いてくる結月、何がしたいんだか全く。
「結月はいったん職員室に行くんでしょ?」
「うん、里美ちゃんに合流しないといけないし」
「里美ちゃんって、荒垣先生だからね」
まだ1回しか会ったこと無いはずなのに……苦労が増えるね荒垣先生。
「じゃあ僕はクラスに戻るからさ」
「はい、じゃあまたね」
そう言って軽く手をふった後スカートの後ろで手を組んで職員室の方に歩いていく結月。なんとなく後ろから見てるとやっぱ凄い華奢な体つきだな。顔は言うまでもないし……
「あー、クラスの男子が騒ぎそうだな」
めんどくさいな、せめて席が遠ければいいんだけど……いや、待てよ。僕があそこで京助があそこに座るだろ、だから……
「最悪だ……」
杞憂で済めばいいんだけどそれは無いだろうし、鬱だ。
まぁ、まだ決まった訳じゃないし確認してみないと分からないけど結月の席はたぶん僕の、
左後ろ……。
簡単に説明するなら新学期の席順はおそらく五十音順、相坂京助は最初が"あ"だから一番右前の席になる。その横、一番前の列の右から二番目の席に僕が座っている。そしてその更に左に学校では数少ない僕の一応友達の堺真(さかいしん)が座っていてその最初二文字は"さか"だ。そしたら佐倉結月は"さく"だからその後ろってことになる。
「オーマイガー」
がらでもない事を口走ってしまう。人間案外脆いもんだな、それなりに新学期を楽しみにしていたはずなのにこんな些細な事でテンションが下がるなんて。そりゃあ京助も結月も友達として大好きだ、京助に至っては親友と言っても過言ではないのだから。
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