新たな1年

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でもクラスで男女隔たりなく人気のある京助と転校生ってだけで人を集めかねないのに美少女でしかもコミュニケーション能力に長けた結月、この二人が近くに座っているのに人が集まって来ないわけが無い、騒がしいのは嫌いじゃないが鬱陶しいのは嫌いだ。 「嫉妬でもしてんのかな?」 勿論そんなこと思ってもいないし考えてもいない、でも無意識のうちにってことも充分に有り得る。人間の行動のうち圧倒的なシェアを占めているのは無意識のうちの行動なのだから。まぁもしそれが当てはまるならなかなか僕ってやな人間なのかもな。あまり器が大きい類でもないし。 「やな話だよ」 精進しないと。 そんなわけで暫く歩いているうちにクラスの前に到着、去年とほぼ同じだから必要性をさほど感じられないクラス名簿と席の場所が書かれた広幅用紙がクラスの前に貼られている。当然と言えば当然なのだがそんな分かりきった情報を掲載した紙に興味を示す人なんてほとんどいないわけでクラスを覗いたら始業式から帰ってきたであろうクラスメイトが読書なり友達と話すなりホームルームまでの短い時間をそれぞれ楽しんでいた。 「お、三味お帰り」 クラスを覗きこんだ時、一番右前の席に座っている京助が僕に気づかないわけも無く、友達と楽しそうに雑談中にも関わらず席を立って僕の所に寄ってきた。……京助って僕と同じぐらい去年は学校サボったよね、なのにこのクラス内での関係の差はなんなんだ?やっぱりコミュニケーション能力の違いってやつだろうか。 「やあ京助」 「なぁ三味、もう席表見たか?」 「まだ見てないよ」 「なら見てみろよ、かなり笑えるぜ」 僕の肩に腕を乗せて笑う京助、もうなんかそんな反応で確信した。 「ねえ京助、なんで僕の席の左後ろ空いてんの?」 「はっはっは、三味なら分かってんだろ?」 乾いた笑い、顔もまるで感情がないかのようにうっすらと口が曲線を描いていた。やっぱりここに結月が座るのか。 「「はっはっは……」」 つられて僕も乾いた笑いをしてしまった。 「しかも結月の前の席が堺ってのもかなりマズくないか?」 「あっ……」 堺真、一言で言うなら 2次元オタク。 「お、誰かと思ったら如月じゃん。あれ、始業式来てたっけ?」 「噂をすればなんとやらだな」
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