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「なんか二人と喋ってる時ってつくづく思うんだけど俺って浮いてるよな」
「なんで?」
「だって俺は二次オタブサメンだぜ?」
「いや、そんなに自虐しなくても」
なんのスイッチが入ったのかは知らないが突然凹む堺。あとブサメンって言うほど顔は悪くないと思うし、髪やらメガネやらで隠れているから評価のしょうもない。
「あんま感傷的になるなって堺、新たな一年は今日始まったばかりだぜ?もしかしたらお前を好きになってくれる後輩とかが入ったかもしれないしな?」
京助はああ言っているが部活に入っていない堺にその出会いは無いだろうな、うん。
「あ、相川……本当にそう思うか?」
京助の肩をガシッと掴む堺。あれ、こんなに情緒不安定だったっけ?何かあったのかな。
「も、勿論だって。なぁ三味?」
助けを求めるような京助と血眼になった堺の視線が突き刺さる。
「うん、大丈夫だと思うよ」
嘘じゃない。堺は顔は悪くないし体つきも適度に筋肉がついて良い方だ。着痩せするのか知らないが明らかに去年と違う。あとは趣味をどうにかして自分に自信がつけば彼女の一人や二人、どうにでもなると思うんだよな。
「彼女がいる京助がそう言っているんだからきっと大丈夫だって」
いい忘れていたが京助には彼女がいる。京助が入ろうとしていたこの学校に一緒に入学するつもりだったのだろが学力が足りず断念。別に頭が悪い訳じゃ無くてこの学校がそこそこ高いのだ。因みに何度か会ったことはあるのだがどうも僕は嫌われているみたいで苦手だ。
「あ、相川ってリア充だったね。忘れてたよ」
京助への目付きが変わる堺。京助は余計な事をと言わんばかりの目で僕を見ているが知った事ではない。それにしても見ていて飽きないな。
「リア充爆発しろ」
「堺、目が怖いんだが」
堺が本気で思っているのでは無く冗談でそう言っているのは誰の目から見ても明らかだ。
それにしても転校生の件から随分と話がそれたな。なんとなく時計を見たら秒針がてっぺんにつきチャイムが鳴る。長い廊下の先から一人の女性が歩いてくるのが見えた。
「荒垣先生来たよ」
「あ、里美ちゃんだ」
もうチャイムが鳴っていて注意されるのも御免なので僕達はそれぞれの席に着く。
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