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それから少しの時間をおいて先生が教室に入ってきた。教卓の前に立った先生は持ってきた名簿とかプリントをそこに置いて僕達を見渡すように見てきた。
「里美ちゃん、おはよー」
そんな声が僕の横から飛んでくる。
「はい境くん、おはようございます。あと下の名前で呼ぶのは諦めましたからせめて最後に先生と着けてくれませんか?」
「だって里美ちゃんは里美ちゃんでしょ?」
次に言葉を発したのは京助だった。クラスの中心で人気者の京助の発言にはさすがの先生も諦めたようだった。別に嫌がっているわけではないしね。
「はぁ……確かに今更って感じなんですよね」
新学期早々溜め息とは、幸薄いだろうな荒垣先生って。可愛いのに彼氏もいないって言ってたし。
「この話はもういいでしょう、じゃあホームルームを始めようと思いますがその前に……感の良い人は気付いたかもしれないけどこのクラスに新たな仲間が増えます!」
「おぉーっ!」
「マジでっ!?」
クラスからは大きな歓声が上がる、回りを見渡しても無表情をしているのは僕と京助ぐらいだな。
「それじゃあ入って来て、佐倉さん」
「はい」
返事をして入ってくる結月。ひょこひょこ揺れる綺麗なベージュ色のツインテール、顔は笑顔で腕は後ろでそっと組み学校指定のスカートを揺らしながらゆっくりと教卓の前に歩いてくる。
流石というかどう歩いてどう立てば自分が可愛く見えるかを熟知してるよな……。
結月は皆に一回微笑んでからチョークで音をたてて名前を黒板に書いた。
「初めまして皆さん、佐倉結月と言います。一年間という短い間になりますがどうぞよろしくお願いしますねっ」
首を少し前に倒して微笑む結月。
「おつしゃー、めっちゃ可愛い子じゃんっ!!」
立ってガッツポーズをするそんな堺の声も聞こえなくなるぐらいに騒ぎ出すクラスメイト。やっぱこうなるよな……。
「え、アイドルかなんか!?」
「凄く可愛いんだけど」
「性格も良さそうだし」
「うん、明るそうっ」
意外に女子受けが良いな、確かに結月は今時の女子高生って感じだし社交性はかなり高いし。
「そんなわけでこれから佐倉さんをよろしくお願いしますね」
「よろしくお願いしますっ!」
「輝いてんなー結月」
「……そうだね」
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