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「あ、それと一つお願いがあるの里美ちゃん」
「?なんでしょう佐倉さん」
「私は書記をするから副委員長は京助君一人でやってもらおうかと」
その詳しく聞かないとよく意味がわからないような提案に案の定クラスがざわつく。僕もその一員なわけで、
「何故です?」
「京助くんならまだしも私に三味さんの補佐なんて勤まらないからねー、書記で充分でしょ。それに三味さんを補佐できる人なんて少なくとも私は一人しか知らないんだよ」
「………………」
こっちを見てウインクする結月。畜生、なんだかんだで友達思いと言うか格好良いな。
「しかしそれでは大変でしょうし……」
荒垣先生はまだ若いからかマニュアル通りに事を進めるくせがある、だから結月のこの提案を受けるのに渋っているのだろう。だが口論では結月の方が一枚も二枚も上手で、
「大丈夫だよ、そんなのやってみないと分からないでしょ?それにあまり長引かせならせっかくの三味さんの決断が鈍っちゃうよ、どする?」
「う…………」
少し考えた後諦めのような溜め息をついて折れる先生。
「分かりましたそれでいいでしょう」
「ありがと先生」
その言葉を聞けて満足と言わんばかりに席に着く結月。クラスは今や完全に結月の独壇場になっていた。ニヤニヤしながら見ている京助やいつもはうるさいのに今は呆気にとられたように結月を見る堺、彼女の姿はまさに圧巻と言えるものだった。転向初日から目立ちすぎな気もするけど。
「そ、それじゃあ今年のクラス委員長は如月くん、副委員長は相坂くん、書記は佐倉さんに努めてもらいたいと思います」
賛成の意だろうか自然と拍手がおこる。空気と流れでなってしまったけどクラス委員長ってなにするんだろうね。
「それじゃあホームルールは終わりにして今日は解散となりますが最後に一つだけ」
トントンと叩いて綺麗に揃えたプリントを後ろに回すように言って配る。最前列の僕は後ろに回した後、そのプリントに目をやると、
「三味、どーする?」
「どうしようか」
内容は至極簡単、自分で授業を組んで単位を取って卒業しろって書いてあった。
「ふむふむ、こんなシステムは初めて。面白い学校だねここはー」
全ての生徒の手に渡ったからだろうかそれなりに静かだったクラスは再びざわめき始めた。
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