新たな1年

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後ろで辛うじて聞こえるくらいの小さな声でそう呟いた堺、教えてもらう立場だからだろうかあまり大きな声でいえないのがすこし笑えてくる。 「だからとりあえず二人と同じ授業を入れたいんだけど良いかな?」 「別に構わねぇよ?」 「同意」 「え、なんの話?」 「うわ、びっくりした……」 結月は確かに前で話していたはずなのに僕や京助の後ろから出てきた。心臓に悪いやつだ。 「ねえなんの話ねえなんの話ねえなんのはな「うるさい」…………ブーブー」 「いやね、皆で同じ授業を入れよって話をしてたんだよ。佐倉さんも一緒にどう?」 「えーやるやる!良いでしょ三味さん?」 何で僕に聞いてくるのか解んないけど断る理由なんて別に無い。 「いいよ」 「やったーっ!!」 結月のそのはしゃぎっぷりにさっきまで結月を囲っていたクラスメイトが一斉にこちらを向く、別に睨まれている訳ではないのだがなんか怖かった。が、なんとなく見つめていたらまるで何かを恐れるように散らばって解散していった、。いったい……。 「三味ーそんなに睨むなよな」 「え……」 ただ見ていただけなんだけど……もしかして散らばっていったのは僕のせい?ならちょっとへこむ……。 「何故か三味さんがへこんでるー、効果音当てるならズーン的な?」 「結月うるさい」 結月がこっち来たから皆見てるんだろうが……とりあえずぱっぱとこれ終わらせて帰ろうかな。ペンを持ち直して再び紙に目を通す。 「お、三味どこいれんの?」 横に座っていた京助が身を乗り出してプリントを覗いてくる。 「京助顔が近い近い、離れて」 「おっとすまねえ」 少し離れる代わりに僕のプリントを取る。まだほとんど書いてないぞそれ。もう面倒だから一緒に京介に書いてもらおう。 「とりあえず必修全部詰めてよ。あ、朝は弱いから午前中の授業は省いてね」 「了解っと」 さっきは全99時間の授業があると言ったが正確には96の授業だ、月曜の1時限はホームルームが入っている。授業を好きに組めるからその時間に学校に来ればいいしこの教室に顔を出す必要なんて無い。クラスなんて概念あってないようなものだ。それでも皆顔出すんだろうな。
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