新たな1年

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「で、何がご察しなんだ?」 「考えれば分かるだろ」 分かんないから聞いてるんだよ。 「三味って頭も良いし判断力や統率力もあるのにたまになんか抜けてるよな」 「今はそんな話どうでも良い」 京助は楽しそうで何よりです。 「えっと……堺くんだよね、さっきも皆の前でしたけど改めてさせてもらうよ。私は佐倉結月、よろしくね」 「よ、よろしく……」 「や、やめろ、堺はいつもはうるさいが女性と喋れるほどコミュ能力は高くないんだ!」 「相川うるさいっ!」 「事実だからなんとも言えないな。それで結局堺はどうしたの?」 「あぁ、そのことなんだけど俺がどう考えても相川や如月みたいな必要最低限な授業だけで卒業出来ると思う?出来るわけないじゃんっ!」 「じゃあそれなりに詰めればいいじゃん」 「でも面倒くさいじゃん」 単位落としたらそれこそ面倒でしょ、 「がんばろうよ、私も手伝えることはなんでも言ってね」 「あ、ありがとう」 なんか感動して泣いてる堺が怖い、 「ねえ京助、結月は猫かぶっていると思わない?」 「どうでもいいがこの必修なかなか難しいんじゃないか?全必修がテストの評価が全てだし」 つまりは平常点(出席点)やレポート等の提出点は無くて期末のテスト一発勝負となるわけだ。しかし逆に言えば出席日数さえ足りれば授業に出なくてもいいわけだから僕的にはかなり楽だ。午後の授業が多いし。 「堺は頭の善し悪し以前に勉強嫌いだからな」 高校の授業なんて最悪一夜漬けでも十分に取れるからな。 「結局本人のやる気の問題だから僕には何も言えないよ」 横に目をやると結月にアドバイスをもらってなんとかプリントを埋めようとしている堺の姿があった。楽しそうに笑う結月と少し緊張気味の堺。……、 「訂正するよ京助、結月は猫かぶってるんじゃ無くてあれは純粋に楽しんでいるんだと思う」 「お、気づいたか?」 気づいたかってなんだよ。 「分かってたのなら教えてもいいんじゃない?」 「これまでの生活環境も関係してるけど三味は妙に鈍感なところがあるからな。そういうのは自分で気づかないと」 なんだよそれ……。
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