大家族

6/45

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
1階に着くまで少しながら時間がある。ここで特殊な作りになっている僕達が住むフロアの説明をしたいと思う。 まずこの僕らの住んでいるフロアは多目的ビルの25階、住居フロアになっている。そしてこの階には部屋が8つあるのだがこの内7つを使用している状態だ。因みに皆知り合い。そしてここからが特殊なのだがこのビルの住居フロアは廊下があってそこにそれぞれの部屋があるのでは無く、エントランスを囲むように部屋が周りにあるのだ。 そして25階は最上階で下に4部屋その上に4部屋あり階段で上れる上階は 筒抜けとなっている使用だ。そしてせっかく皆知り合いでワンフロワーに固まっているのだからエントランスを部屋にしてしまおうとの提案が出たのだ。大理石を全部フローリングにしてついでにキッチンもつけてしまった。今の季節は冬から春へ変わっていくまだ寒い時期だからこたつを出しているわけ。以上、説明終了。 「どうしたの兄さん、考え事?」 「なんでもありません」 メガネをあげながらジト目で見上げてくるいろは。が、すぐにマカロンに目を戻す。そんなに興味はないみたいだ。 1階エントランスに着きエレベーターを降りる。自動ドアを抜けると外の冷気が一気に僕を通り抜ける。 「やっぱ帰ろう」 しかしそんな僕の儚い願いもいろはに首根っこ捕まれてあえなく断念となる。 「まだ外に出てすらいませんわ、駄々こねてないでとっとと諦めて行きますわよ」 手綱を引かなくても付いてくるマカロンに対してむしろ僕が引っ張られている状態になった。もう色々とシュールなわけで、 「わかった、わかったいろは。自分で歩くから手を話なさい」 僕なんかとは違い体を鍛えているいろはの力は強いわけで無駄に抗えばごっそりと体力を持って行かれるだけだ。降参だって1つの戦略。 「全く、少しはマカロンを見習ってほしいものですわ」 「……少しは年上を敬えよ」 仕方なく散歩がてらに歩き出す僕。多分いろははいつもは走っているのだろうけど今日は僕に合わして歩いてくれている。先に行ったら行ったで僕は回れ右で帰るのだが……なんか愚痴っぽくなりそうだからこれ以上は止めておこう。
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加