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『次は△△、△△です。この駅では右側のドアが開きます』
おっと、もう着いたか……西野園を起こさないとな。
「西野園、もうすぐ着くから起きなよ」
肩に寄り添って寝ているところを悪いが軽く揺すって起こす。なんか物凄く気持ちよさそうに寝ている所を起こすのは罪悪感を感じるな。
「すいません……つい気持ちよくて寝てしまいました」
重いだろうまぶたを擦る西野園、そこで僕に寄り添っている事に気がついたのか
すぐ気まずそうに離れる。
「す、すいません三味さんっ!」
「別にいいよそんな謝らなくたって」
僕も立ち上がり背伸びで体を伸ばす。そのまま空いたドアから降りて駅を出るとすごい人の数だった。
「やっぱりすごい数の人ですね」
「僕は人が多いところは嫌いだよ」
歩きづらいし嫌な熱さがあるし。
「まあまあ、こんなに人が多いのは今だけですから我慢してください。それにしても待ち合わせ場所はここらで合っているはずなんですけどね……」
駅の前にあるショッピングモールで待て合わせをしていたが人が多くて見つからない、だから人ごみは嫌いだ。
「あ、いました。あっちです三味さん」
「あ、いた」
人ごみに隠れていたが壁に寄り添って携帯をいじる少女がいた。携帯から目を離し前を見た少女もこちらに気づいて小走りしてくる。そして西野園い抱きついてきた。
「姉さん、それに兄さんごきげんよう!」
「僕を西野園のついでみたいに言うな」
「そんなこと思っていませんわ」
「こんにちはいろはさん」
西野園に抱きついてきたのはいろは、いろはって西野園を姉のように慕っていて西野園もまんざらじゃない、そんな関係。なんかすんごい蚊帳の外って感じ。
「あのさ、悪いけど早速向かおうか、人ごみの多いところ嫌いだからさ」
「急ぐ必要もありませんが……もしかしたらあちらも待ってますかもしれませんし」
「そうですね、でま三味さんにいろはさん行きましょう」
先を歩く二人を見ながら少しだけ後ろを歩く、姉妹って言われれば信じるぐらい仲がいいし血はつながっていないけど実際それぐらい仲がいい。ま、何はともあれ仲がいいのは良い事だ。
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