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年上を敬まず自分が正しいと思ったことを常に行う。我が道を行く彼女にもし四字熟語を当てはめるなら傍若無人を除いて他に合う言葉なんて見つからない。この前もいろはに座右の銘を聞いたら、
「座右の銘?そうですわねぇ……人生太く長くでしょうか」
と、突っ込みどころ満載な返答が来たわけでもはや座右の銘なのかすら怪しいが唯一そこだけは突っ込んではいけない部分、面倒に巻き込まれるのは明らかだからだ。
そしてこの子の特徴がもう1つ、さっき僕はいろはの事を毒を吐く生き物だと言ったが……向こうからランニングのお姉さんが来て、
「おはようございます、今日もいい天気ですわね」
「おはよういろはちゃん。今日も礼儀正しいわね」
「…………」
普段は決して身内しか見ることのできないであろうその驚異の猫被り。いや、これはもはや猫では無く女神だろう、女神の皮を被った小悪魔だ。外面が恐ろしく良く僕も最初見たときは凍りつくところだった。しかもそのお嬢様言葉とは裏腹にかなり多趣味な活発娘なわけで運動能力は全国トップクラスで女子バスケでは県代表チームの4番として全国1位を取り学校では生徒会副会長(部活諸々で会長は断ったそうだ)に就任しているそうだ。熱狂的なファンクラブも有るとか無いとか……そいつらにいつものこいつを見せてやりたいものだ。
「……やはり何か失礼な事を考えていませんこと?」
……感が鋭いのも1つの特徴と言えるだろう。我が義妹ながら恐ろしい娘だよ。
「君の心にやましい事があるからそう思えるんだよ」
「やましい事……」
上を見上げながら腕を組んで考えるいろは。そして、
「多すぎてまるで見当がつきませんわね……」
「うわーお」
ここまではっきりと言われるとかえって気持ちが良いものがある。ちょっと楽しくなってきた自分の心理があるのも事実だし。
「いろはってなかなか腹黒だよね」
「似て否なる物、それは違いますわ。私は腹黒なのでは無く自分の思うように生きているだけ。その為にはある程度の毒を吐いてしまうだけで……」
「要するに腹が黒いんじゃ無くて思ったことを言っているだけ?」
「簡単に言ってしまえばそうですわ」
猫被りな時点でそれも怪しいが余計にたちが悪い事だけは理解したよ。
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