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如月不動産の若社長としてまだ浅いれんとさん。そんなれんとさんが企画したこの一大プロジェクト。このビルはさっきれんとさんの言ったとおり住居フロアを除き維持費に比べての収入が少なくなっている。でも企画時での計算ではある程度黒字の計算になっていいるし問題は全くない。むしろこの企画の本当の目的は社長交代してまだ実績と信用に欠ける如月不動産の知名度を一気に上げることにある。本来れんとさんの若さで社長に就任するのはありえないことだ。だがさっきも言ったとおりれんとさんの実力は他の企業よれんとさんのお父さんに対して一線抜けている。若いうちから社長として名を売ることによって将来的な如月不動産の地位を確立することが本当の目的だ。それを全て分かっていてこのプロジェクトを企画したのだから全くすごい人だよれんとさんは。
「久しぶりに話とかしたかったけどれんとさんも忙しそうだし後にしようか」
この後ここのメンバープラスで京助とゆんも来て全員で晩御飯を食べに行く予定だからその時でもいいだろう。
「じゃあ先に新しい部屋の方を拝見しに行きますか?」
「それ賛成ー」
「私(わたくし)もそれがよろしいかと」
「そうだね」
ビルに向かって歩いていく中、僕たちに気づいたれんとさんが軽い会釈をしてきたので僕も返してビルの中に入る。エレベーターに4人で乗り込む。
「どんな部屋なのでしょうか、とっても楽しみです」
どことなくいつもよりテンションの高い西野園。この引越しの話をした時も凄く嬉しそうにしていた。
「テンション高いね麻里ちゃん」
「はい、三味さん始め皆さんと一緒に楽しく暮らすことが出来るなんて本当に夢のようですから」
言葉を一つ一つ噛み締めるように話す。僕は西野園の言葉の意味と重みを知っている、だからこんなに楽しそうな西野園を見ていると僕も嬉しくなる。
「来週には学校も始まりますし楽しみです」
「……そうだね、最後の一年だし思い切り楽しもうね」
彼女は諸事情により中学校二年以降学校に通っていない、勉強は個人でやっているから普通に勉強はできるけど。とにかく久しぶりの学校なのだ、これが楽しみじゃないわけがない。
「はい、今年一年は最高の一年にしましょう」
その西野園の笑顔はまるで太陽のように眩しかった。
それなのに……
…………。
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