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「あ、如月君、おはよう」
「ん?」
おはよう?
頭にクエスチョンマークを浮かべたまま走るのをいったん止めた。ペース崩すときついから足踏みはしたまま。
ちょっと待って、僕が忘れっぽいのはあるが本当に思い出せない、でも確かになんとなくだが顔は見たことある、誰だっけ?
「あれ、如月君だよね?」
僕の顔を見て彼も不安になったのか聞き返してきた、すぐに返事しないと。
「ああゴメン、そうだよ」
「そうだよね。よかった、人違いだったら恥ずかしいから」
さてどうしよう、相手は知っているみたいだし名前を聞いていいものか……それになんて聞き出していいのかも解らないし……本当にこの忘れっぽい駄目な頭なんとかしないと。
「ごめんね、僕今新聞配達の途中だから。じゃあまた学校でね」
そう言って自転車に乗り再び漕ぎ出す青年。先に見える坂道に向けて一気に漕ぎ出した。そうか、彼同じ学校の生徒だったのか。去年あまり学校に行ってないからな、それに彼の発言からすると僕とあんまり親しい仲ではなさそうだったし。
今考えてもしょうがないか、後で京助にでも聞こう。
「行こ、マカロン」
もう少し走ったらマンションに戻ってシャワー浴びて二度寝しよう、今日の講義五限からだし。
「お昼前まで寝ていたのに眠そうだね三味さん。もう講義終わったよー」
放課後の学校、あれからシャワーを浴びてゆんを学校まで送り届けた後布団に入り込み二度寝した。十二時前に京助と結月に起こされてなんとか講義には間に合ったがそのまま京助もろとも爆睡、見事に放課後になった。
「……マジで?」
授業を受けようとはしているのだがどうも睡魔には勝てない、懸命に戦ってはいたのだが。
とりあえず机から体を起こして背伸びをする、窓から射す夕陽を見ると今日一日無駄にしてしまったと虚無感に襲われた。
「なんか虚しい」
「そりゃそーでしょ、一日寝ていたんだか。こんなの結月にも真似できそうに無いなー」
うざ。
「京助、帰ろう」
結月を横目にまだ寝ている京助の席に向かう。
「酷くない!?」
全然酷くない。
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