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「ねぇ、バイトしてっ」
私はアパートの扉を勢いよく開けると、開口一番そう言って腰に手を当てた。
この行動からして、本当にサイテーだったと思う。
目の前には畳にゴロ寝、Tシャツ短パン姿の元彼。
「またそんなカッコしてっ」
私はそう言いながらズカズカと部屋に上がり込むと、
「日給1万出すからさ、彼氏の振りしてくれない」
と言って、ポカンとする徹(テツ)の顔を覗き込んだ。
「は?お前、バカ?」
そう言った徹の頭に若干強めの叩きを入れ、
「2週間後の土曜。どうせ暇でしょ」
と言いながらテーブルの上に1万円札を置く。
そして次に、私は洋服ダンスを開き、中に掛かった服を物色。
「服はねー」
と言いながら、暫し探してハンガーごと引っ張り出したシャツとパンツを部屋の梁に引っ掛ける。
「コレとコレ。場所は決まったらメールする」
私はそう言うと『じゃ』と手を挙げ徹に背を向けた。
これだけ見ても私って、やっぱサイテーだった。
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