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「髪、もうちょっと何とかならなかった?」
そう言いながら、徹の前髪に手を伸ばす。
サラサラの前髪にそっと指を触れ、少しかき揚げて後ろに流す。
「相変わらずラブラブですな」
そう声がして振り返ると、そこにはオシャレで落ち着いた雰囲気の美形男子と杏純がいた。
うわぁ。
話には聞いてたけど、確かにカッコイイ系。
でも、まぁ、スタイルなら徹の方が断然上よね。
などと考えながら、杏純の彼に頭を下げる。
と、そこに、
「ごめーん。私がビリ?」
と言いながら杏子が現れた。
杏子の後ろには、またもやカッコイイ系。
確か彼氏は年下って言ってたっけ……。
でも、可愛さと若さをプラスしても、やっぱり徹の方がカッコイイ。
そう思った時、自分の目から流れ落ちる涙に気付いた。
なんで?
急いで指で拭った。
でも間に合わず、涙は次から次へと零れ落ちる。
「ウソ、もうヤダ」
私はそう吐き捨てるように言うと、みんなに背を向け走り出した。
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