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結果的に、俺の役職は魔王さまの『専属執事』。
ナギの役職は『将軍』になった。
俺は元々戦闘職ではないし、軍勢を率いて人間共を攻め滅ぼすというタイプではないのでまあそれは良しとしよう。
ナギの方はバリバリの戦闘職であり、トッププレイヤーとしてのカリスマもある。この先魔王軍としてプレイヤーを受け入れることになったとしてもうまくやってくれるだろうという確信がある。
まあ妥当な役職と言えるだろう。
俺は俺で魔王さまのお世話をしていればいいわけだから気楽なものだ。
……お互いその役職の後付けとして『&旦那』とか『&愛人』とか付いているわけだけれど、細かいことを気にすると色々と凹んでしまいそうなので現実逃避……もといVR逃避でもしてしまおうかな。
ちなみに俺にセクハラ……を含めた様々なトラウマを植え付けてくれやがった偉大なるロリ魔王さまは、膝の上でまどろみ中。
俗に言う膝枕だな。
大変ご満悦な様子で執事としてはありがたい。
……ありがたい……はず……?
「役職も決まったし、あとは魔王軍の募集かな」
仕切る仕切る我らがナギナギ将軍。
ちなみに魔王さまの命令でナギは『ナギナギ将軍』というのが正式名称になってしまっている。
これからどれだけの部下が出来たとしても『ナギ将軍』ではなく『ナギナギ将軍』と呼ばれる運命なのだった。
ナギの方も悪ノリして『オッケー。オレは今日からナギナギっすね!』とか言いながら快活に笑っているのだからかなりの大物だ。
「でも魔王軍の募集って具体的にどうすればいいんだろう?」
肝心の魔王軍中枢である俺達が何も分かっていないあたり、なんとも頼りないことだった。
「ん~。ちょっと待ってね」
俺の膝を撫でていた魔王さま(セクハラだ!)が、むくりと起き上がってメニューウィンドウを操作する。
魔王さま専用のメニューウィンドウはある程度管理者権限も含まれているらしく、一般プレイヤーである俺達の知らない仕様になっている。
予めAIに組み込まれていた機能なのか、魔王さまは手慣れた動作でウィンドウを操作していく。
「あ、あった」
目的のものを見つけた魔王さまはその情報だけを取り出して俺達に見せてくれた。
内容は『魔王軍結成マニュアル』というものだった。
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