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次の日、目が覚めると隣には祐はいなかった。
階段を下りてリビングに向かうと、キッチンからいい匂いがしてくる。
「あはよー、祐」
ふはぁっとあくびをしながら朝の挨拶をすると、
「ん、おはよ」
素っ気ない挨拶が返ってきた。
朝のメニューは、トーストにハムエッグとサラダに果物にスープだ。
「朝ごはん、いつもたくさん作るよね」
「150センチ未満の誰かさんのためにね」
意地悪なことを言う。
わたしの身長は149だし!
150と変わらないし!
まぁ、そんな祐は180を余裕で超えてるのだが。
「祐って意地悪!」
「早くお食べ」
わたしの嫌味なんて鼻っから聞く気はないらしい。
しょうがなしにわたしは差し出された朝ごはんを食べる。
「今日もおいしい!」
嬉しそうに頬張るわたしに、祐は頬を緩めた。
いつも意地悪言われても、祐のご飯を食べるたびにすぐ忘れてしまう。
本当にわたしって単純だ。
「食べ終わったら、家に帰って支度しろよ?」
「うん、分かってる」
朝の登校は、たまーに一緒になるけど、よく別々で行く。
何でか分からないけど、いつの間にかそんな感じになってた。
もっもっ、と勢いよくパンを食べて牛乳で流し込むと、
口の中がいっぱいで苦しくなった。
「そんなガッツくな。時間あるし」
「わぁっふぇる(分かってる!)」
祐はわたしの背中を摩る。
そういう優しさは昔から変わらない。
やっとの思いで飲み込むと、わたしはハンガーに掛けられた制服とバックを持って、
「ごちそうさま!」
と急いで祐の家を出て行った。
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