第1章

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***** 次の日、目が覚めると隣には祐はいなかった。 階段を下りてリビングに向かうと、キッチンからいい匂いがしてくる。 「あはよー、祐」 ふはぁっとあくびをしながら朝の挨拶をすると、 「ん、おはよ」 素っ気ない挨拶が返ってきた。 朝のメニューは、トーストにハムエッグとサラダに果物にスープだ。 「朝ごはん、いつもたくさん作るよね」 「150センチ未満の誰かさんのためにね」 意地悪なことを言う。 わたしの身長は149だし! 150と変わらないし! まぁ、そんな祐は180を余裕で超えてるのだが。 「祐って意地悪!」 「早くお食べ」 わたしの嫌味なんて鼻っから聞く気はないらしい。 しょうがなしにわたしは差し出された朝ごはんを食べる。 「今日もおいしい!」 嬉しそうに頬張るわたしに、祐は頬を緩めた。 いつも意地悪言われても、祐のご飯を食べるたびにすぐ忘れてしまう。 本当にわたしって単純だ。 「食べ終わったら、家に帰って支度しろよ?」 「うん、分かってる」 朝の登校は、たまーに一緒になるけど、よく別々で行く。 何でか分からないけど、いつの間にかそんな感じになってた。 もっもっ、と勢いよくパンを食べて牛乳で流し込むと、 口の中がいっぱいで苦しくなった。 「そんなガッツくな。時間あるし」 「わぁっふぇる(分かってる!)」 祐はわたしの背中を摩る。 そういう優しさは昔から変わらない。 やっとの思いで飲み込むと、わたしはハンガーに掛けられた制服とバックを持って、 「ごちそうさま!」 と急いで祐の家を出て行った。
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