第1章

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____その日の放課後。 「あ、ケータイ忘れた!」 「え?!」 張り切って合コンに向かおうとする麗ちゃんと緊張し切ってるわたし。 思わず、教室にケータイを忘れてしまったことに気付いた。 幸いにも、まだ昇降口からは出ていない、下駄箱だ。 「ごめん、すぐとってくるから待っててくれる?」 「しょうがないなぁ。そそっかしいんだから」 ごめんね、と麗ちゃんに一言告げて教室に向かう。 麗ちゃんに待たせっぱなしでは申し訳ないので、近道をしようと思った。 人気の少ない第2化学室の準備室の前を通って行くことにした。 普段なら滅多に通ることはない。 「あ、祐に帰れないこというの忘れた……」 ま、教室にもいなかったら帰ったってわかるだろと思った。 そんなことより、と思い、 急いで走っていくと、いつも人気のない第2化学室の準備室から物音が聞こえた。 え、まさか幽霊?! 恐る恐る部屋のそばに近づいてみると、中から声が……… 「ぁ、ぁん……ん、ぃ、あぁ」 …………へ? 思いもよらぬ声にビックリした。 え、というか、この声って、 ええ?! 「……声、黙って」 「あ、ぅ、うん……ふっ……」 中から男の人の声もした。 低くて、甘い、どこかで聞いたことがある気がする声……。 あれ、誰だっけ? ボーッと立ち尽くしていると、突然、準備室のドアがガラッと開いた。 思ってたより、わたしの考える時間は長かったようで…… そう気付いた時にはもう遅く、ドアは開いていた。 「あ、すみませ……!」 盗み聞いてたつもりじゃないんですって、続けようとしたけど、 目の前に立っている人に驚いて続きの言葉が出てこない。 「…………祐?」 目の前には、祐がいた。
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