第1章

12/18
前へ
/20ページ
次へ
今までこんなに走ったことあったっけってぐらい全速力で、昇降口まで走っていく。 昇降口には、麗ちゃんが待っていた。 「もうおそいー。ケータイあった?」 「あ、ケータイ……!」 そうだ、わたし、ケータイ取り行ってたんだった。 あんなとこ見ちゃったから、すっかり忘れてしまった。 「え、まさか忘れたの?」 「う、うん…」 「もう、何しに行ったのー。取り戻ろっか」 そう言って、靴を履き替えようとする麗ちゃんをわたしは急いで止めた。 「いや、大丈夫!本当に大丈夫だから!」 「でも、ケータイないと不便でしょ?」 「平気だよ!本当に大丈夫!ほら、もう時間だしさ!」 だって、もしかしたら、祐達にあってしまうのかもしれない。 そんなことになったら、気まずいなんてもんじゃない。 わたしの必死な様子に不信に思ってる麗だったけど、合コンに行きたいのだと勘違いし、 「そうね、合コンだもんね!」 とテンション高めだ。 わたしは内心ホッとしたが、ちょっと今の麗のテンションに合コンが不安になる。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加