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すると、祐はわたしに唇を押し当ててきた。
こんな冷たい祐は初めて。
いつもわたしが泣くと、無言で、でも優しく頭を撫でてくれる。
そんなあったかい祐しかわたしは知らない。
唇と唇が重なると、もう息なんて出来なくなってしまっていた。
「ふっ……、あ、ゆぅ……」
「ひな、口開けろよ」
そう言われても、この状況で口の開け方を忘れてしまっている。
どうやってやるのか分からない。
「ヘタクソ」
そう言うと、祐は強引に口を割って中に入ってきた。
にゅるんと祐の舌が口の中に入ってくる。
その感覚がくすぐったくて、身体中がしびれてしまいそうだ。
「ゆ、う……くるし……」
息が続かなくて苦しくて祐のワイシャツの袖を強く握る。
それに気づくと、祐はわたしの唇をぺろんと舐めてから唇を離した。
「なんか酒臭い」
祐がポツリと零した。
あ、そういえば間違えてお酒飲んじゃったんだ。
「飲酒までしてんの?」
ハッと嘲笑うように祐が言った。
そんな祐にわたしの顔がカッと赤くなる。
「間違えて呑んだだけだし!祐の方こそ……」
「俺の方こそ?」
「あ、あんな、学校でハレンチなことしてるじゃん!」
勢いで言って我に返った。
そうだ、祐はあの準備室でしていたワケで……。
祐の方こそわたしより全然悪いのに、一方的にわたしを責めるなんておかしすぎる。
「わたし、知ってるんだからね!祐、サイテーだよ。彼女いるのにこんなことして…!」
キッと祐を睨みつけると、祐はさらに不機嫌になり出した。
「彼女じゃない」
「え……?」
「だから、あいつ彼女じゃない」
彼女じゃないってどういう事?
だって、あんなことしていたのに。
祐が分からない。
「祐って彼女でもない人と平気でできるの?」
「……出来るよ。お互い合意の上だし」
祐の返答にわたしは全く理解できなかった。
だって、ああいうことって好きな人同士がお互いを愛し合ってする行為なんじゃないの?
祐はそんな簡単にそれが出来ちゃうの?
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