第1章

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「はい」 祐はカルピスを渡す。 わたしは「ありがとう」と一言告げて、カルピスを飲んだ。 いつも通りの濃いめのカルピス。 「何のゲームするの?」 祐もカルピスを飲みながら、わたしの隣にちゃっかり座った。 「マリオカートにしようかな」 「また?」 「えー、ダメ?」 「いいけど」 いっつも何のゲームしようか迷うけど、やっぱりマリオカートだよね。 1番メジャーなゲームだと思うし。 わたしはゲーム機にカセットを入れた。 ______2時間後。 「きゃぁぁあ!落ちちゃう!落ちちゃう!」 「ひな、うるさい」 「祐、落ちちゃうよ!わたしのキノピオ落ちちゃ……ァァァア!」 わたしのキノピオはテレビの中の映像で崖から落ちていってしまった。 「また最下位になっちゃうよぉ」 泣く泣くわたしが再開させると、横ではもう祐がゴールし終えていた。 もうずっと1番でゴールしている。 「ひな、弱すぎ」 はぁ、と大きなため息をつきながら祐は言う。 祐が強すぎなだけだもん。 結局、最下位でのゴールとなってしまった。 「また最下位………」 もう何度目か分からない結果にしょんぼりしていると、祐がポンポンっと頭を撫でてくれた。 「夕飯食べるか」 祐に言われて、「うん!」と頷いた。 祐は料理が得意だ。 っていうか、家事全般得意。 手際よく料理を作っていく。 今日のメニューはわたしの大好物のオムライス。 「おいしい!」 無我夢中で出来たてのオムライスを頬張るわたしを笑いはしないけど、祐は優しい目で見てくれる。 オムライスを食べ終えた時にはお腹いっぱいで祐の部屋でゴロゴしていた。
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