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「ねー、ねー、祐」
「なに?」
「今日このまま泊まってもいい?」
「家、すぐ近くだけど」
わたしの頼みに呆気なくそう言う祐だけど、わたしがじっと祐をみていると、
「おばさんに連絡しなよ」
といつも言ってくれる。
なんだかんだて優しい祐にいつも甘えてしまう。
わたしは素早くお母さんにメールを打つ。
送信完了の文字がケータイの画面に映し出されると、わたしは祐のベットにダイブした。
「また俺のベットで寝るの?」
「祐のベットふかふかなんだもん」
自分の部屋より祐の部屋の方が心地いいし、
ふかふかの祐のベットは祐の匂いが染み付いてて、ホッとするのだ。
石鹸みたいな匂い。
祐は食べ終えたお皿を片付けていた。
「ねー、ねー、祐」
今度は、なに?、とも聞かないで顔だけ祐はこっちを見てきた。
「祐って彼女作らないの?」
祐は今までにもわたしが知ってる限りで何人か彼女はいた。
すっごい綺麗な人達ばかりで。
でも、気づいたらいつの間にか別れてしまっている。
「つくらない。ってか、いらない」
「何で?」
わたしが聞くと、祐は眉をひそめた。
「彼女いたら、ひな、家に来ないだろ?」
一瞬驚いた。
「え、あ、まぁ…うん」
「だから、いらない」
何事もなかったかのように平然と祐は皿を積み重ねあげると部屋から出て行ってしまった。
祐がそんなこと考えてるなんて思ってもみなくて。
っていうか、いつも口にしてくれないから分からないことが増えてきた気がする。
そんなことを考えていたら、眠気に誘われて、わたしはいつも祐の部屋に常備してあったスウェットに着替え、
お風呂は朝でいいや、と思いながら布団の中に潜って眠りについた。
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