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文句ハアリマセン、魔法少女ダモノ。
函館の言う通り私はいつも通り悪い物を倒し、余韻に浸る。戦闘で火照った身体を夜風で冷やしてから帰るということは、既に私の日常の一部になっていた。ビルとビルの合間を縫うように、自分で作り上げたステッキに乗り、飛んだ。私はまだ夢を見ているみたい。その、悪夢は。
ああ、悪夢という程、悲しい夢でも無いな。私は考え直す。むしろ、これは浸かれる夢なのだろう。どっぷりと、浸かる夢。きらびやかな、楽しく綺麗、それでいて儚い夢。いつかは覚めるのだろうけれど、今覚めるのは、嫌。
今はまだ、夢を見させていて欲しい。私は急降下し、それからゆっくり地面へと着地する。そして殆ど消えた住宅街の明かりを見ながら家へと急ぐ。速さが足りない、もっと早く。
「第一の鍵、」
同時に、速度が上がる。この感覚も大分慣れてきたものだ。帰宅することで冷めていく、私の儚い夢は。
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