第一章 魔法少女の存在

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だって、自分でも信じられない。助けられた私が、皆を助けているんだから。ひ弱で弱気で勇気もない、錠前千鍵という名のこの私が。 悪い物は放っておくと、増えていく。そして悪い物を蔓延させると、普通の人を襲ってしまうらしいから。私はこの街、ううん、世界を救っていることになるんだ。私一人で救えてしまうだなんて、なんて容易い世界だろう。こんな貧弱な世界は、きっと泡。 ほんの少しの衝撃で、弾けて消えてしまう。何とも儚い世界―――なんて、そんな事を考えながら、目を閉じる。考えずとも朝は来るから――私は眠りについた。 明日は学校もある。寝坊は出来ない。その為に早く帰ってきたのだ。だから、あまり起きてはいられない。だって私、一応本分は学生な訳だし。 考えている内に目蓋が重くなり、温もりを感じながら私は眠る。明日も魔法少女は活動する。そう―――明日も救ってあげる。この世界を。
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