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ここまでで分かるだろうが、僕は″テンプレート″と呼ばれるもの全てが嫌いだ。良くある展開とか、安定の作戦とか、兎に角そういった捻りも特徴の欠片も無いものが嫌いなのだ。
だから、美少女ゲームのように幼馴染みと一緒に登校したり、妹に起こされたりなんてしない。路地でパン銜えた女の子とぶつかるなんて、もっての外だ。
「よ、蒼矢。あれ、翠華ちゃんは一緒じゃないのか?」
「僕がいつアイツと一緒に登校したことがあった、テンプレ親友キャラの軽井沢」
学校に着き、教室。出席番号順の席に座ると、隣の男子生徒が親しげに話しかけてきた。
時刻は″7:00″丁度、予定より遅くなってしまったが、一般的に考えると早過ぎるくらいである。それどころか、人によってはまだ夢の中だ。
軽井沢は一体、どれだけ早く来ているというのだろうか。
「人をキャラとか言うなよ。てか、蒼矢の中では俺は親友ホジションなのかそうかそうか」
「にやけるな、腐女子が喜びそうな展開も要らん」
軽井沢はその苗字の通り、軽い調子でからかってきた。コイツとは、高校に入ってから知り合ったのだが、座席が近い為教室に居ると専ら、コイツと話していることが多かった。
「で、翠華ちゃんはどした? 何時もならほぼ同時に来るってのにさ」
「ストーカーかよこええよ……アイツは、まぁ、そのうち来るだろ」
軽井沢はこれ以上は無駄と判断したのか「ふぅん」と漏らすと、それ以上の追求をやめた。
俺が面倒と思ったことを必要以上に聞いてこないコイツは、典型的な親友キャラではあるが……居心地は悪くない。
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