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「翠華以上な……」
翠華は、学年……いや学校でもずば抜けた人気を誇る美少女だ。
今でこそ落ち着いているが、入学当初は先輩からナンパされるわ下駄箱に手紙が入っているわで、そのルックスは周知のものである。
本人はそれをあまり嬉しくは思っておらず、幼馴染みという関係上接点が多い僕は、そのあまりのテンプレ美少女っぷりが見ていられず、「しばらく僕から離れずに登下校しろ」と言ったのである。
周囲に勘違いされるのはそれはそれでテンプレなので嫌ではあったが、同じテンプレなら僕が対象の方がよっぼど対処しやすいと思ったのだ。
それに、その手の噂は時間が経てば風化する。
「翠華ちゃんの人気ぷりも凄かったからなぁ。ウチの学校の男どもは美少女と見たら直ぐに惚れやがる」
因みに、軽井沢は僕が言った言葉を翠華以外で唯一知っている人間だ。そのことでからかわれることも多いが、そうすることで定期的に″僕と翠華の仲″を適度に周知させている節がある。
全く、とことんテンプレ親友キャラだ。
「お前はどうなんだ?」
「そりゃ勿論……美少女は大好きですよ?」
「だよな」
本当、どこまでもテンプレートな奴だ。
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