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「それでは女王様の入場です。」
ステージを見ると演奏隊が並びファンファーレを奏でる。
奥から王女が入ってくる。高身長で誰もが羨む美形。王女に相応しい相貌の人物だ。
王女はステージ中央の台の前で止まる。
進行役が話す。
「ガウェインの今後の処罰について意見がある者は挙手を。」
レズリーが手を挙げる。
「レズリー司令官、どうぞ。」
「やはり死刑が妥当だろう。我が国に刃向った罪は大きい。死を持って償うべきだ。」
その言葉を聞いたエディが座ったまま口を開いた。
「それはどうかと思うよ?」
予想外の反応にレズリーは無意識に「は?」と呟く。
「殺しちゃったらそれでお終いじゃん?私の施設で一生可愛がってあげるよ。」
「コイツのせいで俺の部隊も被害を食らった!犠牲者も出てるんだぞ!?今二でも殺したいくらいだ!」
レズリーの声で他の富裕層は喋ることが出来なくなっていた。
そんな中、後ろの扉が開く音がした。
全員が一斉にそちらの方向へ振り向く。
扉の外には一人の男が立っていた。
進行役が大声で叫ぶ。
「今は神聖な裁判中だ!どこのどいつだ!?」
「・・・にが・・・ 何が神聖な裁判だ!!!」
その顔、この中にいるメンバーでその人物を知らない人間はいないだろう。
アルバート商会の会長、アルバート = ファルコナーだった。
右手には短剣のようなものを握っている。
「俺はガウェイン氏に助けられた!ガウェイン氏を殺すというのなら俺は・・・魔王 お前を殺す!」
そう言い放ちファルコナーは短剣を構え真っ直ぐ走り出した。
大聖堂内は悲鳴に包まれた。
誰もファルコナーを止めようとはせず、悲鳴を上げ出口から出ていく。
しかし次の瞬間、ファルコナーの手から短剣が落ちた。そして体は数m程飛ばされていた。
「お前?今王女様の事をお前っていったよね? 王女様でしょ?」
レディの手には鞭が握られていた。
ファルコナーが呻き声を上げる。
護衛兵がファルコナーを捕える。
初めて女王が口を開いた。
「アルバート = ファルコナー、お前の全ての資産をはく奪。同時に地上世界送りだ。殺しはしない、感謝しろ。」
護衛兵がファルコナーを立たせ連れていく。
「今日はとんだアクシデントがあった。よって裁判は後日、もう一度行う。」
そう言い女王は奥の部屋へ戻っていった。
それから10分後には大聖堂はいつも通りの静寂となった。
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