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「では早速今日から研究します!」
研究開発部の課長は、腕が鳴らんばかりに椅子から立ち上がった。
2階の北側の一番奥が研究室だ。
課長は白衣を身にまとい、
研究室の扉をあける。
「部長、会議の結果、なんでも落ちる洗剤の開発に決まりました!」
部長は水色の液体を三角フラスコを振りながら、振り向いた。
「なんでも落ちる洗剤?」
「そうです。なんでも」
「簡単そうで難しい洗剤だなぁ」
「どうでしょう?」
「まぁ、決まったんなら、ねぇ?」
フラスコの液体はエラーだったようだ。
「なら、君がリーダーでやってみるといいよ」
「はい!」
部長は自分の研究に夢中のようだった。
課長の指示のもと、
洗剤の研究が始まった。何度ものトライ&エラーを繰り返しながら、毎日毎日、洗剤の追及を行った。
温度やテクスチャー、香りに至るまで、様々な条件下でテストをした。
しかし、でき上がったのものは、
やはり、別段目新しくもない、少し洗える物の幅が広いだけの普通の洗剤だった。
「もっと、特徴のある洗剤は作れないだろうか……」
課長は深夜まで研究室に残り、
各メーカーが出した文献や資料を読み漁っていた。
そんなある日。
「君が研究している洗剤に、これを混ぜてくれないかい?」
部長は満面の笑みで、以前エラーをした水色の液体の入ったフラスコを持っていた。
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