【洗剤】

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「部長、その液体、以前から研究されてましたよね。何ですか?」 「これはね、使えばわかるよ」 「ダメですよ。それでは安全性に問題が……」 「では一度、研究室でモニターを取ればいいよ」 「……わかりました」 部長からの指示。むげに断ることもできない。 課長は部長から受け取った液体を、洗剤に入れて機器にセットした。 まずは、研究室の職員の白衣を洗濯することにした。襟元や袖がどうしても汚れやすい。 洗濯機に入れて、分量の洗剤を入れ、脱水。屋上で干した。 「……普通だ」 襟元の汚れも、落ちていると言えば落ちているが、見違えるほどとも言えない。 部長の液体は何に効いているのだろう。 繊維?使用感?質? 特に変わったところはない。 データーを一通り取ると、課長は1つため息をつき、 夕方になって白衣を取り込み、皆に返却した。 次の日、新しい洗剤で洗った白衣を着た。 そしていつものように研究室の扉を開ける。 「おはよう!」 「おはようございます!」 皆が次々に元気よく挨拶をくれる。 「おはよう!」 課長もそれに応えるように挨拶をした。 「……ん?なんだかいつもと気分が違うぞ俺。皆も朝からやけに生き生きしているし……なぁ、何か良いことでもあったのか?」 「いえ!いつもと変わりませんよ。でもなんだか、気分がスッキリしていて」 「私もです。昨日彼と喧嘩してモヤモヤしてたんですけど、なんだか改めて彼の大切さが分かりました。今日謝ります」 「自分も。心が洗われたというか。前向きな気持ちです。不思議ですね。昨日はそんん気持ちではなかったのに」
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