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「はい、久名幸介様ご到着です!」
え?何これ?
気づくとソコは小さな部屋だった。部屋の中にはまた小さなテーブル、俺を挟んで向こう側にはOLと思しき女性がいる……俺はいつの間にか就職の面接を受けていたのか。
「まぁ確かに"ソレも"この後ありますが今はとりあえず久名さんに状況を説明することが先ですね」
また俺の口は勝手に喋りやがった様でOLさんはクスリと笑みを浮かべて言う、あぁ恥ずかしい。
「……で、説明とは?」
OLさんが言った『ソレも』は気になるがまずは今の状況が大切なのは俺としてもそうだ、最後の記憶とかけ離れるにも程がある。
「えーっと、久名さん。まずは驚いても良いので取り乱さずに聞いて下さいね……」
「はい」おうどんと来い、わけが分からなすぎて逆に冷静になっている今の俺ならなんだって受け止めれるさ!
「久名幸介、齢26、死因は頭部を鉄骨で潰されたことによるモノであり状況から即死だったと思われる」
OLさんは先程とは打って変わって真面目な顔をしてカルテらしき紙を読み上げる、内容は驚くほどすんなりと頭に入ってきた。
「あー、やっぱり俺……死んだんですか」
ある程度は予想していたさ、どう考えても鉄骨の直撃コースからの面接なんて普通じゃない。
「……意外と驚かないんですね、助かります」
少しホッとしたのかOLさんがため息をつく、コレはイカン、紳士たるものとして女性に迷惑を掛けるべきではない。
「いえ、まぁ何となく分かってましたので……」
「そうですか、心中お察しします。……そんな所非常に申し訳ないのですがこれからの詳しいお話をしてもよろしいでしょうか?」
……俺は死んだ、鉄骨に潰されて。特に夢があったわけでもない、だがしたいコトはいくらでもあった。親こそ居ないが親友と呼べるヤツは割りといた。職はなかったが絶望していたわけではない。出来ることならば死にたくは無かった、ただ……これからのコトは大切だ。
「……はい、お願いします」
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