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「はぁ、はぁ……ま……撒いたか?」
鬱蒼とした木々の中。
俺達は奴の視界から外れることに成功する。
「いや、妾の魔力を察知されれば、また奴は妾達の前に現れるだろう」
「マジかぁ……」
……ん。待てよ。
ティルフィング様は狙ってるのは妾って言ってたよな……?
「……人間。
今、妾を捨てようなどと思わなかったか?」
「イイエ、トンデモゴザイマセン」
なんという読心術……もし実行したら俺は呪い殺されてしまうかもしれん……
「ぬう……しかしどうしたものかのう。
このままでは妾もお主も食われるぞ」
「……まさか、俺に戦えと?」
「妾もそこまで非情ではない。
じゃが……今の妾にとって、頼りになるのはお主だけなのじゃ」
うわ、返しに困る。
でもなぁ……確かにこんな異常事態を切り抜けるなら、俺がティルフィング様を振り回すしか無い訳で。
また向こうに戻ったら、他の皆が巻き添えを食らいかねない。
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