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「!? 後ろだ人間!!」
「えっ……ごふッ!?」
気付かなかった――木々を薙ぎ倒し、強烈な掌打を受けた俺は軽々と吹き飛ばされる。
「人間!! 気を確かにせい!!」
「あ、ぐうッ……!」
激痛が全身を襲う。
あの爪が直撃しなかっただけマシだったかも知れない……が、たぶん骨は何本か持ってかれた。
「ッ……頼む人間!!
妾はお主に力を借りるしかない!!」
言われてもっすね……俺、もう立ち上がるどころか這いずることすらできそうにないって言うか……意識保ててるのが奇跡だと思う。
けど……
「ど……どうすりゃ、良いんすか……」
必死に叫ぶティルフィング様に、俺は力を振り絞って問う……諦めちゃいけない。
そう思った。
「お主の血を妾の刃に捧げよ!!
その心血があれば、奴など……!」
なんだ、たったのそれだけか……だったら何とかなるかも知れない。
俺は疑うこともせず、震える左手を右手に掴んだままのティルフィング様の刀身に持っていき、人差し指の肉を切り裂く。
「!!」
その時。
俺は確かに聴いた。
「はあああああッ!!」
ティルフィング様から轟く、脈動を。
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