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真っ黒だった刀身が、鮮烈なまでの紅色へと染まっていき、刀身の背には牙が連なりその容姿を変貌させる。
次いで、ティルフィング様から禍々しい波動が放出され、獅子と草木を吹き飛ばす。
ダメージを与えるには至ってないが、怯えた様に獅子は1歩また1歩と後退する。
「人間……お主の名は何と申す?」
「名前……?」
名前。俺の名前。
痛みに遮られて冴えない思考のまま、俺は何とか自分の名前を口にする。
「恭介……片桐、恭介……」
「……分かった。片桐恭介、妾は……」
ドクン、と一際大きく脈動。
それと同時に、俺の身体が呼応する様に煮えたぎるような感覚に捕らわれる。
「妾は、魔剣ティルフィングは!!
鮮血の契りを片桐恭介、お主と結ぶことを誓うッ!!」
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