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最初は空耳だと思ったが、違った。
明らかにあの真っ黒な剣からまだ若い女の子の声が聴こえて来る。
何あれ、ソーディアンか何か?
「早くするのじゃ!
このまとわりつく感触が不愉快でならん!」
すげー催促されてる俺。
てか可愛い声してんなあの剣。
実に俺好みの声だ。
そんな剣の声にホイホイ釣られた俺は、ややぬかるんだ田んぼに足を取られぬよう、注意しながら剣の元に辿り着く。
ああ、お気に入りのブーツが……
「はい、来ましたが」
「うむ。ご苦労。
では早速、この妾を引き抜くがよい」
引き抜けとは言うが、こんな俺の背丈以上はあるであろうバカでかい剣を引き抜くことができるのだろうか?
……なんて悩みもすぐに吹っ飛ぶ。
両手を柄に掛け、少し力を入れただけであっさりと天に掲げることに成功した。軽っ。
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