発現! 魔剣ティルフィング

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「く、屈辱じゃ……人間ごときに、妾がこんな辱しめを受けるなど……」 「ただ水洗いしただけじゃないっすか。 ほら、次は拭き取りますから」 まあ、いきなり剣に向けて水を吹っ掛けたのは完全にわざとなんだけどな。 そんなことを口に出せる訳も無く、俺は物干し竿に吊るしていたハンドタオルで刀身に付いた泥を丹念に拭い取る。 ……よくよく見るとスゴい綺麗だ。 真っ黒と言ってもくすんだ色とかじゃなく、宝石の輝きにも似た光沢を放つ刀身。 タオル越しでも分かる刃の重厚感は、その手の分野の人が目を見張る物があると素人の俺でも分かる。 「はい、終わりましたよっと」 「……うむ。色々と言いたいことはあるが、まあ目を瞑ってやろう」 まあ、こき使っといてこの言い種。 しかし悪い気はしないからいいや。
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