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「人間!!」
「ッ!!」
ティルフィング様の言葉に反射的に反応し、俺はノーモーションから一気に降り下ろされた獅子の爪に対して、盾の様に構え受け止めることで事無きを得る。
なぜ俺がこんな化け物の一撃容易く止められたのか、という疑問は今はどうでもよかった。
「ほう、妾の意図を理解した上に防御までしてみせるとは……お主、戦士としての素質があるようじゃの」
「んなことはどうでもいいっすよ!!
いったい何なんですかこいつ!?」
「……こやつこそがイリーガル。
妾の居た世界で好き勝手に暴れておる、全生物の敵なのじゃ!!」
こいつがイリーガル、か。
本当にヤバそう、うん……これもう俺死んでしまうんじゃね?
「人間、ここは狭すぎる!
まずはどこか別の場所へ誘導するのじゃ!」
「ええっ!? で、できる訳……」
「妾を手にしている限り、お主には常に肉体強化の術の効果が掛かる!
走って逃げるくらいはできるであろう!」
「よく分かりませんけど……だったら!」
俺は受け止めていた爪を反動を付けてはね除け、隙ができたところで庭から逃走する。
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