その恋はいつか 1

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そんな想いは、中学の頃からずっと胸の奥にしまっている。 兄には幸せでいて欲しいから… 「はい、これ。次回までやっておくように」 ドンと目の前に宿題を置かれた。 「はぁ!?」 なんじゃこりゃ、量多っ!! 「言っただろ、満点取れなきゃ倍にするって」 「鬼!悪魔!」 「言ってろ。俺はもう行くからな」 と言って出て行った。 冷たい目をして。 「あいつは、悪い奴じゃないんだ。ただ、愛想がないだけなんだよ」 「それにしても、この量は多いよ。ぜってー終わんねぇよ」 「まぁまぁ、解んないところが俺が教えてあげるよ」 「最初から、兄ちゃんに教えて貰えば良かった」 「俺は、あまり教えるのが得意じゃないんだ。圭の方が解りやすかっただろ?」 はい、そうでした。 学校の先生より解りやすくて、丁寧だった。 でも、兄ちゃんが良かった。 「頑張れよ、薫」 俺の頭を優しく撫でた。 なんだかふわふわした気分になった。 暖かくて、優しくて、本当… あれから、あいつは家に来た。 そして、テストをして大量の宿題を出して帰って行く。 俺は、あいつにぎゃふんと言わせたいから、必死に頑張った。 そして 「やった…B判定になった!」 模試の答案が帰ってきた。 前よりも点数が上がっていた。 よっしゃ、これであいつも俺を馬鹿にしないだろ! 宿題の量も減るだろ。 そして、 「褒めてくれるかな」 へっ?俺、今なんて言った? 褒めてくれるかな? なんで…なんで! 意味解んねぇし! なんであいつに褒められるのが嬉しんだよ! ありえねぇ。 「ぜってー、ありえねぇ!!」 「何がありえないんだ」 「うわあああ」 びっくりした! なんだよ急に! 「こんな所で何をしているんだ」 「いや…あっ!それより、これ見ろ!B判定だぞ!」 あいつに帰ってきた答案用紙を見せた。 どうだ、すごいだろ。 「よく頑張ったな」 と頭を撫でてきた。 えっ? 理解出来なくて、混乱している。 その間、ずっとわしゃわしゃと俺の頭を撫でる。 その大きな手で… 兄ちゃんみたいな大きな手で、優しく、撫でてくれた。 「この調子で頑張るんだな。調子こいて、点数落とすなよ」 そう言って、手を離し、行ってしまった。 1人になって、思わず撫でられた頭を触った。 わずかに残る、暖かな感触が忘れられなくて…
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