怪奇現象-2

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すると、彼女は画面を見たまま、手元を素早く動かし始めた。 正真正銘のブラインドタッチの、しかも上級版だった。 彼女は私にはついていけないスピードで数分間黙々と作業をしていた。 そして、最後のキーをバチッと決める。 「…できた」 「何?何ができたの?何?何したの?」 私はワケが分からず彼女を質問攻めにしてしまう。 「…とにかく、もう大丈夫ですから」 落ち着きのない私とは反対に野崎さんは自信たっぷりにゆっくりと言った。 彼女はそれ以上は言わなかったけれど、そのメールを受信しないような設定をしてくれたのだろうと予想した。 「野崎さんて…そういうの得意なんだ…?」 「そうですね。なんか、私、こういうの意外に出来るみたいで」 「…すごいね」 「いえ。桐谷さんもつまらないことで気に病むのイヤでしょう?もう大丈夫ですから、大切な社長さんのために秘書に専念してくださいね」 年下の彼女の笑顔はなんだかとても頼もしくて 私はワケがわからないにも関わらず、どこかホッとして 笑顔で頷いていた。
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