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白い寝台に艶のある黒髪が広がる。 透き通るような肌と薄く赤い唇は、さながら童話の眠り姫のようだ。 光の射し込む静かなこの部屋には、時計の音だけが響いている。少年はそっと彼女に近付き、その黒髪を撫でた。 少女は相変わらず、規則正しい寝息を立てていた。 ――俺にはもう、勇者の剣も魔法の呪文もないけれど……。 「早く起きて……眠り姫……」 少年の呟きは空気に溶けて消えた。
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