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八畳の暗い部屋に、パソコンの画面だけが光っている。その前に座る少年は、背もたれに身を預け硬く目を閉じていて、起きる気配もない。一見、ただ寝ているだけのように見える。
その頭にはヘッドフォンのようなものを付けており、そこから伸びるコードはパソコンに繋がっていた。
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二十一世紀に入って数十年。コンピュータの進化は更に加速し、前時代には不可能と言われたことを実現可能にした。空飛ぶ車はまだないが、人間と見紛うばかりのロボットは実用間近だ。
時代を発展させたものの一つにDDSがある。
ダイビング・ドリーム・システム。略してDDS。脳波を利用して人為的に夢を再現できるシステムだ。好きな夢を見ることはもとより、夢の中で様々なことをできるようになった。また、それはグローバルネットワークに接続して、夢を他人と共有することができた。
とりわけそのシステムの開発を競ったのはゲーム会社だった。画面上でしか行えなかったゲームが生身とほぼ同じ状態で体感できる。それが子どもから大人までの人気に火を点け、DDSの爆発的な売上げと繋がった。
ゲームもソーシャルネットワークも夢の中で行える。現代病であった睡眠障害が解消される、と医学会からの呼び声も高かった。
まさに夢のようなシステム。それがDDSだった。
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