第1章

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ドアを開けた瞬間、地味な女は声を張り上げた。 「ほら!やっぱり居た!タケシさんの事で話あるから入れて頂戴!!」 タケシというのはムラタケの事だ。目が血走ってる。こ、怖い。でも怯んではいけない。 「あの、いえ・・・あたしとしては話す事無いんで・・・」 「アナタには無くても私があるのよ!」 うわっ、強気だ。陰気で弱気っぽい女だって聞いてたのに。イザとなるとやっぱ怖くなるのね。 「あの、ちょっと近所迷惑なので大きな声出さないでくれます?」 「近所迷惑ですって!?アンタ私にどれだけ迷惑かけてると思うの!」 論点ズレてますけど。うう、勇気が無くてツッこめない。 あ、この女、手ぶらだ。バック持ってない。って事は最悪凶器は持ってないっぽい。 でもポケットに折りたたみナイフとかないか?いや、この女がやらかすとしたら、凶器は絶対出刃包丁。 根拠の無い先入観で、あたしはユキコが凶器を持ってないと判断した。 とりあえず凶器持ってないなら、人目につく前に家に上げて話し合うか。 「わっ分かりました!落ち着いて下さい!ちょっと今寝巻き着替えてくるのでそこで待ってて下さい!」 「もう!早くしてよね!」 はぁ・・・。気が重い。さっさと着替える。今凶器を持ってなくても話の結果逆上されたらヤバイので、台所の包丁を隠すのも忘れない。
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