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ドアを開けた瞬間、地味な女は声を張り上げた。
「ほら!やっぱり居た!タケシさんの事で話あるから入れて頂戴!!」
タケシというのはムラタケの事だ。目が血走ってる。こ、怖い。でも怯んではいけない。
「あの、いえ・・・あたしとしては話す事無いんで・・・」
「アナタには無くても私があるのよ!」
うわっ、強気だ。陰気で弱気っぽい女だって聞いてたのに。イザとなるとやっぱ怖くなるのね。
「あの、ちょっと近所迷惑なので大きな声出さないでくれます?」
「近所迷惑ですって!?アンタ私にどれだけ迷惑かけてると思うの!」
論点ズレてますけど。うう、勇気が無くてツッこめない。
あ、この女、手ぶらだ。バック持ってない。って事は最悪凶器は持ってないっぽい。
でもポケットに折りたたみナイフとかないか?いや、この女がやらかすとしたら、凶器は絶対出刃包丁。
根拠の無い先入観で、あたしはユキコが凶器を持ってないと判断した。
とりあえず凶器持ってないなら、人目につく前に家に上げて話し合うか。
「わっ分かりました!落ち着いて下さい!ちょっと今寝巻き着替えてくるのでそこで待ってて下さい!」
「もう!早くしてよね!」
はぁ・・・。気が重い。さっさと着替える。今凶器を持ってなくても話の結果逆上されたらヤバイので、台所の包丁を隠すのも忘れない。
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