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「結構いいマンション住んでるのねぇ。」
ユキコは部屋を見回して言う。
「あ、ありがとうございます。あ、お茶入れます。座ってて下さい。」褒められてるのに怖い。
「結構です!仲良くお茶する気は無いので!」
「はぁ。そう、で、す、よ、ね・・・。」
「単刀直入に言うけど、タケシさんと別れて欲しいの。アナタ自分のしてる事分かってるの?」
まるで本妻の様な口を利く。
「はぁ・・・いや、でも、あたしは別にムラタケと付き合ってるってえワケじゃ・・・・」
「黙らっしゃい!タケシさんと寝てるのは知ってるのよ!今さら言い逃れなんて」
黙らっしゃいって・・・久々に聞いたなぁ。
「いえ、あの、だからですね、確かにハイ、寝て、ますがー。かといって付き合ってるってワケでは・・・」
「はぁ?アナタ付き合っても無い男と寝るの!?」
「ハイ、まぁそういう事もあるかと・・・。」
「ヤリマンなのねッ。汚らわしいわッ。私なんてタケシさんと出逢って以来一度も浮気してないのに!」
ヤ・・・ヤリマン。改めてそう蔑まれるとスゲー言葉だなぁ。どうしよう、誰か助けて。
「ええ、そうですそうです。ただのヤリマンですので、タケシさんを愛してるワケでは無くてですね。
あたしもタケシさん以外にもまぁ一緒に飲んたり寝たりありましてですね、ユキコさんがお気になさる存在では無いんですよ、あたしは。
別れろと言われれば、メンドクサイの嫌いなんで別れますから、あの、お引取りを願いた・・・」
といい終わらないうちに女は鬼の形相で目を見開いて叫んだ。
「!!なんでアナタ私の名前知ってるの!?」
・・・しまった。そりゃそうだ。
ムラタケとあたし、という本当に恋愛感情の無いセフレ関係だからこそあたしは色々知ってるけど、普通は知ってるわけがないと思うだろう。
あたしは直感でこの女がユキコだと思い込んでしまってつい言ってしまったけれど、(まぁ、当たってたんだけど)まさか名前を言われると思っていなかったみたいだ。ユキコはなんか、ものすごく、困っているのを怒りでごまかしてるような顔になっていた。
・・・なるほど、ユキコはあたしが何も知らないと思ってて本妻のフリして押しかけてきたつもりだったのでは?とあたしはひらめく。
ムラタケに他に女が居ると知って、別れさせたければそうするのが得策だもんな。
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