春に殺された少女

2/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
少女の白い肌に、雫が降りかかった。 頬が濡らされても、少女は拭おうともしない。 ただじっと、目を閉じている。 雫は、青年の涙であった。 青年は、泣いているのであった。 ほんの数日前、青年が少女に会ったときには、少女の身体は温かかった。 潤んだ瞳で青年を見つめ、抱きしめてやると頬を赤く染めるのだった。 ところが今、少女は白い顔のまま、眠っている。 実は少女は死んでいるのだが、青年には、よくわからなかった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!