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そう思えば科学者の使っていたパソコンも何世代も前のミドルタワーだ。欧米の先進国では量子コンピュータが実用化されている時代なのだから、これは時代錯誤な趣味にも程があると言えるだろう。アナクロな白熱電球がもっと明るかったならば、科学者の周りに散らばっている彼のアナクロな趣味がもう幾つか見えていたかもしれない。
或いは、科学者の作り上げた兵器の外観迄。
「我は死神なり。世界の破壊者なり」
科学者は未だ繰り返していた。白熱電球が明滅し闇が一層濃くなっても彼には見えていたからだ。目から光を取り込んで見ているのではない。焼き印の様に刻み付いた記憶を手に取っているのだ。
ぎこちないセピア調の声が空間を震わす。その空間もやがては少しずつ小さくなっていく。
遂にその声は温度を無くし、
終にその声は音を失くし、
卒にその声は光を亡くした。
プツン。
もう、裸電球は点いていない。
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